▼草いきれ2008/08/19 22:13 (C) The Daily izumiya
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この時期の炎天下に、山道を歩くと、うっそうと生い茂った草や木が、むせかえるような匂いをはなっている。
このムッとする草いきれが好きだ。
別に匂いフェチでも、変態でもないが、バラの香りでも、ジャスミンの香りでも無い、自然の草花の草いきれはなぜかホッとする匂いだ。草花の呼吸する匂い?真夏の太陽を浴びた草花の汗?
真夏の暑い(本当に暑〜〜い!!)昼下がりに、息が詰まるほどの草いきれでムッとする感覚は、知る人ぞ知る!の感覚なのだ。真夏の草いきれ・・・これぞ自然の醍醐味と思うが。
匂いといえば。
よく聞くのが、韓国の空港で飛行機のドアが開くと、キムチの匂いがするというが、(私は一度もそう思ったことは無いなぁ・・・・。)韓国の街中でも、あまりキムチの匂いを意識して感じたことが無い。
オリンピックも終盤の北京だが、胡同(フウトン・・北京の古い町並み)を歩いていると、どこからとも無く漂ってくる匂いは、揚げ油の匂いだ。特に早朝に散歩に出掛けると朝もやとともに匂ってくるのは、油条(揚げパン)を揚げる匂いだ。この匂いってどことなく懐かしいと思ったのだが、昔、近所にあった豆腐屋さんの匂いと似ていると思った。揚げたての油揚げの匂いだ。
タイで象の運転?を習ったときは、子どもの頃に行ったサーカスの匂いがした。
オーストラリアでカンガルーの袋に手を入れたときは、暖かくて柔らかくて子どもの頃に飼っていた犬の匂いがした。
そういえば、北京で紫禁城を見に行ってカメラに写そうとした時に友達に言われたことがあった。その友達は写真を撮ろうとしなかった。「写真に収まらないくらいにここは大きい。ここ北京の匂いも写真に写せたら面白いのに・・・・・」まさしく、あの混沌とした北京の町並みは、揚げ油の匂いがしたし、私の苦手なシャンツァイ(香草・・カメムシ草とも言う。現地でのシャンツァイ入りの料理は私の苦手である)も今はなつかしい。
(おそらく、このオリンピックで胡同の路地裏も無くなり、街角に毎朝出ていた豆乳と油条売りもいなくなったのだろう)
写真に残らなかった記憶は、ある時鮮明に甦ってくる。記憶は、匂いも、動きもそして音声さえも甦る。