▼マダリソの思い出 ああ愛しき少年。2009/10/02 14:15 (C) 精のノート
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最近マイケルジャクソンが亡くなったことで世の人々が彼と彼の才能、そして偉大なる功績を惜しんでいる。
そのため彼の映像を目にすることが多くなったのだが、その時決まって思い出す一人の少年がいる。
少年の名はパトリック。
僕がザンビアで結成したサッカークラブ「ルサカ・ワンダラーズ」のメンバーで立ち上げ当初からのメンバーだ。
13才の彼は僕にとってもなついていたプレーヤーの一人で、僕の試合にもよく見に来てくれるし、練習の前や後にたくさん話しかけてきてくれた。
サッカーがとても大好きで、本気で将来はプロになりたいと考え、毎日必ずトレーニングに参加してきた。練習前などに僕がちょっとした小技を見せると大はしゃぎでそれを真似てやってみようとする。
いつも彼と話していたせいか、彼は僕の気持ちを理解し、練習中に教えるサッカーの技術や戦術はもちろん、それ以外のプレーヤーとして大切だと思うメンタル的な部分についても一生懸命聞いてくれたことを覚えている。
僕が怒るととてもがっかりした表情を見せ、僕が喜ぶと本当に嬉しそうな屈託のない笑顔を見せてくれる。
そんな彼はやはりマイケルジャクソンが大好きで、よく「Beat it」を歌いながらブレイクダンスを踊っていた。
一番覚えているのはミニバスをチャーターして練習試合に出掛けていった時、帰る途中でガス欠になり、ドライバーがガソリンを買ってくる間、一時間ちょっと道端で待たされたことがあった。その時、車のヘッドライトを照らし、それを証明にして彼がダンスを踊ってみんなを楽しませたことがあった。僕も彼らと一緒にパトリックのダンスを楽しんだ。
彼には僕の任期が2年と限られていて、終了したら帰国しなければならない事情が理解できないらしく、
僕の帰国がせまってくると彼は毎日のように
「本当に帰るのか?」
「俺たちをおいてなんで帰るんだ?」
と口にしていた。
帰国する日。空港まで見送りに来てくれたザンビア人友人たちの中に彼の姿もあった。しかし、彼は最後まで「No,SEI!行くな!」と不満顔であった。
とうとう最後まで彼とは笑顔で分かれることができなかった。
そんなこともあって、彼のことはいつも頭から離れない。
いつか彼がプロの選手となった時、会いに行きたいと思っている。
写真中、僕の頭を指さしているのがパトリック