▼古民家に学ぶ『エアサイクル工法』2010/07/17 10:16 (C) 株式会社Forex/季楽な家開発奮闘記
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雨の多い日本では、屋根の役割はとりわけ重要で必然的に大きくなりました。屋根空間の容積(気積)を大きく取って、暑さや湿気を和らげたり、囲炉裏の煙を煙突効果で棟の煙出しからスムーズに排出するといった役割があったのです。
また、棟を高く上げることは、家格を誇ることでもあったようです。北側の床面(地面)近くに設ける小さな窓は日陰の冷たい風を取り込みます。対角線方向に向き合う南側の窓と組み合わせると、温度差で自然換気の効果が得られます。
自然断熱材、茅(かや)葺き屋根材料が身近にあって入手しやすかったこと。村落の共同作業で工事を行うといった仕組みがあったことも考えられますが、それにもまして、厚く葺かれた茅は空気を大量に含み、断熱材としての役割を果たしていたことか茅葺き屋根が広く普及した大きな理由でした。
●自然と調和した夏を旨とする家づくり
高温多湿な日本の風土は、夏は蒸し暑く、梅雨期にはカビが生えたり、モノが腐ったりダニなどの害虫が発生するなど、不快な要素がいっぱいです。
そこで吉田兼好が記したように「夏を旨とする」家がつくられました。
建具を開け放ち、風の道をしつらえて涼風を得る。同時に通風によって、柱、梁、造作材や畳など調湿作用のある素材からの排湿を促したと考えられます。
特に床下は湿度が高く束や土台は腐朽しやすい部位ですが、高床式とすることで通気性を確保して、木造建築の欠点である腐りやすさを克服してきました。
●自然の恵みを活かす。軒(のき)と庇(ひさし)、縁側と緑の下
深い軒や庇は、夏には直射日光を遮り、日陰を作って暑さをやわらげます。また、雨水が室内に吹き込むのを防ぎます。縁側は、屋内の「縁」(ふち)にも、庭の「縁」(ふち)にもなる曖昧な空間です。
夏は夕涼み、秋はお月見、冬は日だまりで日向ぼっこするなど、自然の恵みに親しみ、ご近所の友とおしゃべりを楽しむなど、人の「縁」(えん)を結ぶ空間でもありました。
また、冬は照り返しの光を室内の奥まで拡散してほのかな明るさをかもし出すなど、自然の恵みを住まいの快適さにつなげる働きもしていました。縁側の下には、「縁の下」があります。ひんやりした地面に冷やされた自然の風の心地よさを楽しめます。
●透ける、遮る、通す。すだれとよしず
スダレは光のまぶしさや熱を遮ると共に、天空の明かりを透かし、やわらげる調光装置としての役割を果たしていました。また外からの視線を遮り、隙間から風を通すという大変便利なものです。
ヨシズは細竹などを編んだ素朴なもので、立て掛けるだけの簡便さです。どちらも便わない時は巻き込んで仕舞えるスグレモノです。