ヤマガタンver9 > 少女の願い

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▼少女の願い

今日もお絵かきイベントを行った。
今日は、2週間前に来てくれて仲良くなったYちゃんが来てくれた。

Yちゃんはとても絵が好きで、前回もたくさんの絵を描いてくれた。
市営体育館を出て、アパートに暮らし始めたので、前回は参加していいのか分からずに来なかったそうだ。それでも先週、お母さんに会うことができて、連れてきてと伝えたところ、本当に来てくれた。

「今日は何を描くの?」
と聞くと、
「今日は絵手紙にする」のだそうだ。
早速、はがきを持ってくると、絵の具でサクランボの絵を描き始めた。
そして、これに
「文字を書くんだあ」と言って、黒の絵の具で字を書き始めた。

その文字は、
「甘くなあれ」

僕の感覚だと
「甘いよ」とか「甘くなったよ」
とかそのおいしさを伝えるもんだと思っていた。

ところが
「甘くなあれ」

次はブドウの絵を描き、
「たくさんなあれ」
バナナには「いっぱいなあれ」

とそこには「願い」が書き込まれた。

そして、本人とお姉ちゃん、お母さんが並んだ絵を描き、
また、お姉ちゃん、お母さん、お父さん、おじいちゃん、おばあちゃん、そして本人が並んだ絵も描いて
どちらにも
「楽しくなあれ」と・・・。
どの顔も笑顔で微笑んでいる顔が並んでいた。

昨日の地震で、Yちゃんは頭を抱え、
「なんで、せっかく一生懸命に忘れようとしてるのに〜!!」
と叫び、熱を出してしまったらしい。

そして、今日のこの願いの込められた絵。

ああ、この子も必死になって前に進もうともがいてるんだんなあ。
今ある状態から抜け出して、いいことがたくさんある生活をしたいんだなあ。
と彼女の小さな胸の叫びを聞き、声にならない声をあげ、ただため息だけが漏れた。

きっと希望を持っていないと、自分の心が崩れてしまいそうで、不安なんだろうなと思う。
一生懸命、希望を忘れず、進んでいこうとする彼女。
彼女の願いが一日でも早く実現することを願った。
小さな彼女が必死になって戦っているのだから、僕たち大人がしっかりと支えてあげないといけないと強く感じた1日だった。
2011/04/12 19:59 (C) 精のノート
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