ヤマガタンver9 > 憲法改正の「限界説」

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▼憲法改正の「限界説」

最高法規である憲法の改正は、下級法規である法律の改正と違って、下級法規の全体に影響し、かつ将来にまで影響するところが大きいので、この憲法では、その改正手続きをもって、法律の改正手続きよりも厳重に定めたわけである。

一般の法律は、総議員の3分の1以上の出席があって、出席議員の2分の1以上の賛成があれば制定・改正できる。すなわち、極端な場合、総議員の6分の1以上の賛成があれば良いのです。

これに対して憲法の改正については、総議員の3分の2、すなわち6分の4以上の賛成があっても、発議しかできず、それを国民投票にかけて、過半数の同意がなければ改正できないという、極めて厳しい手続きを持つところの所謂「硬性憲法」である。

このような「直接民主制」の採用は、この憲法が国民主権の憲法であり、憲法制定者が国民にあるという当然の結果として「改正権」を国民に与えたためというべきである。
故に、憲法の最後の保障を「国民」に求めたということができるのである。

次に、憲法改正の「限界」であるが、これは、改正規定によっても改正できない憲法規定があるかどうかの問題である。
学説では「無限界説」と「限界説」があるが、通説では「限界説」となっている。

「憲法改正権」は、「憲法制定権」によって与えられた権限である。従って、憲法制定権によって樹立された「根本原理」に反するような改正、或いは憲法の同一性自体を失われるような改正は行えないとするものである。

「日本国憲法」の限界としては・・・。
�国民の「憲法制定権力」に基づく以上、「憲法制定権力」の所在を示す国民主権原理は変更できない。・
�国民主権原理によって立つ「人権尊重原理」もまた、近代立憲主義に基礎を置く「日本国憲法」の基本的規範に含まれ、憲法改正の「対象外」である。
�「平和原理主義」もまた、国民主権及び基本的人権尊重原理を支える重要な「柱」であり、憲法改正の対象には入らないのである。

              拙著 「憲法96条」小論文より抜粋
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