▼ 置賜の大獅子42022/03/17 08:36 (C) 獅子宿燻亭10
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置賜の大獅子の最終回である。知る限りご紹介したが、ご存知の大獅子があればご一報願いたい。
7.長井市四ツ谷 志田芳弘氏の作 木地の総宮型大獅子
大型の獅子頭木地に両眼を黒く塗られた大獅子で、大きさ重さ由来など調査中である。館町北白山神社
拝殿で目にした方も多いのでは。
8.新長井駅の構内 作者不詳の総宮型大獅子
作風で様々の獅子彫り師の作を調べたが断定できない。現在、寺泉出身の渋谷俊宏氏の作が最有力候補に
ノミネートされている。
9.長井市 渋谷正斗の作 八尺大獅子と総宮型大獅子
奥行き240cm重さ230kgの八尺大獅子は平成4年の国民体育祭開催の際、長井市で卓球競技の会場となり、
選手歓迎のレセプションで選手激励と安全祈願と長井の獅子舞文化のPR企画に制作した。大獅子は樹脂製で、
タテガミはマグロの釣り糸を束ねて取り付けている。
また、モマダ(シナノキ)の大木を入手した際、大型の獅子頭(奥行き75cm)を制作を試み、まだ未完成
である。
置賜番外編
10.上山市中山 白髭神社の大獅子
長井市で開催の平成15年の国民文化祭獅子舞フェスティバルに参加。当時は赤湯烏帽子山八幡神社規模の大幕
を獅子に取り付けていたが、現在は住民減少で規模縮小の獅子幕に変更されている。
中山白髭神社例祭に取材した際、明治期の神社火災で獅子頭焼失後、作り直された事が分かった。その獅子頭
の作風研究を行っていて川西町龍蔵神社の幕末に奉納された神楽系の赤獅子と類似している。
記名には「谷地 高山正則」とだけ記され、河北町谷地の名匠 高山文五郎、山形市の関 正(せき ただし)、
西大塚の金子貞則(ていそく)などの寺社彫刻の名工たちが関係しているのでは無いかと推測している。
「高山正則」は三人の名前から一時づつ取り、合わせた架空の彫師名を獅子頭作者を残している、と言うロマン
溢れる説である。
龍蔵神社の獅子頭 慶應3年と明治29年
上山市白髭神社や川西町犬川龍蔵神社の獅子頭は寺社彫刻に精通した技巧的な作風で、置賜では異彩を放っている
。高山文五郎は村山地方で数多くの自社彫刻を残し、置賜では米沢市荒沢の虚空蔵尊の神社彫刻、関 正は川西町下
小松の仁王尊、金子貞則は龍蔵神社すぐ北の大塚 積善寺の拝殿欄間などの他、各地に見事な彫刻を残している。
中山 白髭神社獅子頭は、何回か塗り替えされ恐らく記名は確認できないだろうが、見事な獅子頭の作風に名工の印
が感じられるのである。
11.南陽市川樋の諏訪神社の大獅子
川樋の諏訪神社には、白鷹町鮎貝八幡神社型の大獅子が所蔵されている。例祭日に取材したが当時は拝殿に収納さ
れ忘れ去られていた。高度成長期の地区が活気に溢れ、華やかだった時代の名残なのだろう。
後継者に忘れさられる事は、伝統工芸である獅子頭の作り手として、最近よく耳にする実に寂しい結末なのである。