▼館長裏日記 令和5年10月19日付け2020/10/19 11:00 (C) 最上義光歴史館
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神戸の公共空間においては裸婦像が多く、過去に、それらの立像の腰にスカーフがまかれるという事件が起きたそうです。そこで思い出したのが、今年の春に開催された、静嘉堂文庫美術館の特別展「明治美術狂想曲」です。その特別展のメインのひとつが黒田清輝の「裸体婦人像。その絵は、明治34年の第6回白馬会展の際、警察の指導により下半身を布で覆って展示された「腰巻事件」の説明とともに展示されていました。
これと似たようなことですが、バチカンのシスティナ礼拝堂にあるミケランジェロ作「最後の審判」も一時期、男性図絵の股間にふんどしを描き足したことがありました。性別に関係なく、穿いてないと見る方は安心できないようです。
ところで山形市内で最も有名な屋外彫刻と言えば、北山形駅前にある小便小僧でしょうか。これも普通の裸の像なのですが、時事の話題などをテーマにした衣装が着せられています。昨年は、多様性をレインボーカラーで表した衣装をとなっていました。下もちゃんと穿いてはいるのですが、それでも当然、隠しようもない部分があり、むしろ出しています。
◇ 小便小僧の話 その2
小便小僧と言えば、そのオリジナルとなるブリュッセルの小便小僧は、世界三大がっかり名所 (他に、コペンハーゲンの人魚姫、シンガポールのマーライオン) のひとつとしても知られています。きっと御存じの方も多いとは思います
逆に実物を見て、その大きさに驚く彫像もあります。例えばフィレンツェにあるダビデ像。もともとウフィッツィ美術館近くの広場にあったものですが、保護のため美術館に移され、もとあった広場にはレプリカが置いてあります。その像の高さは517cmあり、その瞳がハート型になっていることなどには気付くこともなく、ちょうど目の前にくるあの部分にどうしても視線がいきます。さらに歴史に造詣がある方々は、ダビデ王はユダヤ人なのに割礼の跡がないのはなぜだ、という議論になるそうです。審美的な理由でこうなっていると結論づける方もいるのですが、それはおとなしく被ったままです。
◇ 小便小僧の話 その3
知る人ぞ知る有名な小便小僧に「祖谷渓小便小僧」というのがあります。徳島県の祖谷は深い渓谷の地で、そこには県を代表する観光名所のかずら橋とか 自家用ケーブルカーで露天風呂に行き来する旅館もある祖谷温泉とか、鉄道好きの方にはお馴染みの大歩危(おおぼけ)駅とか小歩危(こぼけ)駅とかがあります。
祖谷渓小便小僧は、祖谷温泉に行く道筋にあるのですが、車のすれ違いも困難な曲がりくねった道路で、広場も駐車場もなく、ガードレールの外にある高さ約200mの岩場に立っているだけです。
どういう経過でここに小便小僧を建てることとなったかはわからないのですが、この渓谷の、この高さにいると、どうしてもやってみたくなる、というのが自然の摂理なのでしょう。ちなみにその足元には、けっこうなお金が投げ込まれていました。人の気持ちを動かし、金を置きたくなる、やはりこれは本物です。