▼館長の写真日記 令和5年11月25日付け2023/11/25 15:55 (C) 最上義光歴史館
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さて、このタイヤ交換の時期は、某歌合戦の出場者が発表される時期でもあります。今年の話題はあのジャーニーさんのことかもしれませんが、還暦を過ぎた身からすれば、メンバー名どころかグループ名すらよくわからず、歌合戦と言えばせいぜい、石川さんが今年歌うのは「津軽」と「天城」のどっちだ程度です。
あと、一部で物議を醸しているのが、大泉洋さんが「出場歌手」になったことです。以前、乳酸飲料のCMでカラオケランキングトップの有名曲をカバーしていたのですが、そのオリジナル歌手との対談で「もう少し練習しておけばよかった」とか言っていました。確かにそんな感じでしたが、歌合戦は「シェフ大泉」のような勝負になってしまうのではと危惧しています。
さて、この大泉さんが還暦を過ぎたら、きっとこんな感じになるだろうなという人が、知り合いの不動産会社の社長にいます。その知識経験からなのか、お人柄からなのか、やたら面倒な案件の相談ばかりあると言います。ただ、そんな物件もうまくこなすため、噂ではかなりの豪邸に住まわれているとのこと。初めてお合いした40年近く前は、「どうでしょう」に出てくる大泉クンのような身なりだったのですが。
以前、個人的な用件で、その社長さんの会社に行ったとき、「明日、旧家の蔵を買いに行く」という話をされました。そうです。蔵を買うというのは、中身も込みで買うということです。そういう物件をこれまで幾つか扱ってきたそうで、郷土作家の美術作品にも詳しくなってしまったとのこと。いわく、最上川を専門に描いているあの画家の作品がよく出てくるとか、今、手元に某美術館で生誕100年記念展をした女流画家の大きめの作品があるけど安くしておくから買わないかとか、まあ次から次へと話が出てきます。小一時間ほどこんな話になってしまい、肝心の用件は後で社員の方に相談することとなったのですが。とにかく、それなりの数をみて、しかも売買も絡むため、かなり目も肥えるようです。
それにしても「蔵の一棟買い」というのは、夢があります。やれるものならやってみたいとは思いますが、まずは先立つものがないと。当然ながら価値の評価も難しく、美術館であれば美術的な価値判断もなされますが、博物館では、いつ、どこで、それが作られたり、使われたのかがわからないと、資料的な価値が失せてしまいます。
さらに厄介なのは、品物の蔵出しはできても、蔵本体をどうするかです。大抵はその蔵の有効活用を、という話になりがちですが、市当局としてはきっともめることになります。何に利用して、どの部署で管理して、予算はどうこうと、課題ばかりが山積し、やがて「お蔵入り」ということに。
さて、ここでいつものことわざですが、ふと浮かんだのが「捨てる神あれば、拾う神あり」です。これは、相手にしない人もいれば、助けてくれる人もいるので、くよくよするな、という意味ですが、博物館の場合、全く別の意味でとらえることができます。それは、その価値を見捨てる人もいれば、見出す人もいる、ととらえるのです。
そのいい例が浮世絵です。日本から欧州へ陶磁器などを輸出する際、その梱包材として浮世絵が使われましたが、それがゴッホだのモネだのに見い出されて浮世絵ブームが巻き起こりました。まさに「捨てる紙あれば、拾う紙あり」といったことでしょうか。
ゴッホは、モンマルトルに住んでいた時に、近くの古美術店の屋根裏ににあった大量の浮世絵に魅入られます。その後、日本に憧れながらアルルに移住し、南仏特有の明るい陽射しに、浮世絵版画の色彩を重ね、作品を生み出していったとのことです。惜しむらくそれは、山形にはない陽射しや色彩であろうかと。ただただ、暖冬を祈るばかりです。
除雪機もスタンバイさせました。
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